こちらは30代前半の若夫婦らしい感性で仕上げたヴィクトリアンスタイルの住宅。プルーデンスの社員井元佳祐の自宅です。
海外ドラマで見るような切り妻屋根やカバードポーチ
外観は隣接する雑木林の緑に彩られ、往来からも目を引く上品で華やかなデザイン。切り妻屋根をバランスよく配し、妻飾りや、飾り雨戸などの装飾も印象的です。三角屋根と一言で言っても、これだけ切り妻屋根を多用したものはプルーデンスならではと言えます。
井元「人気の海外ドラマ『デスパレートな妻たち』に出てくるようなカバードポーチにしたいというお客さまに出会ったことがありました。ドラマでは、ここで近所の主婦たちがお茶やお酒を楽しむ場面がたびたび登場します。デス妻って何?から始まった僕は、何度もこのドラマを観て、使われているものやデザインについて研究したのを覚えています。
自宅はビルトインガレージのため、カバードポーチを小さめにしましたが、ディテールにはこだわりました。デザインピラー(柱)など資材の多くは海外の商社を通じて直接仕入れ、国内で購入する場合の1/3ほどの価格で抑えています。
通常、材料の多くは国内の商社を通じて購入していますが、部分的に直接仕入れることもありますね。常に、品質を保ちながらも安く抑える努力は惜しまないようにしています」。
サロンのような独立したダイニング
LDKは、一般的に間仕切りの無いオープンタイプが人気ですが、ダイニングはリビングより床を一段下げて床材も雰囲気を変え、空間の違いがはっきりと出る独立型にしています。
「一日の中でもダイニングで過ごす時間が意外と長いと感じていて、居心地のよい空間にしたかったのと、来客の際には、お客さまをおもてなしできる別空間として使うことが出来るようにと考えました」。
採光窓から月を愛でる吹上のリビング
ハイスタッド(天井高約2700mm)で一般の家よりも300mmほど天井が高いプルーデンスの家。リビングにはさらに吹上があり、伸びやかな空間が広がっています。夜、ソファに座るとハーフラウンドの採光窓から月を眺めることができるリビングが一番の気に入りです。
室内の壁にはブルーグレーを使いました。家具は求めやすいイケアの商品を中心にコーディネート。元々プルーデンスが手掛ける輸入家具の販売やコーディネートをしていた経験が生きています。
快適な暮らしをイメージしたプランニング
ご家族のほかに、2匹の愛犬と暮らす井元邸では、玄関ホール下と、ダイニングの一角にそれぞれの専用スペースを設けました。
L字型に配した玄関横のシューズクローゼットには大容量の靴収納を完備。コーナーには犬の足洗い場も設けています。
ソファを置いてファミリースペースとして使うなど、2階ホールを広くとることが多い北米の住宅。井元邸ではカウンターテーブルと棚を設け、書斎コーナーをつくりました。
2階ホールにはバニティと呼ばれるオープンな洗面化粧室があります。日本でもクローゼットの奥など、身支度しやすい動線上に化粧スペースを設けるプランが増えているようです。
洋服を収納している主寝室や個室との行き来を考えると、洗面化粧室も2階にあるほうが効率良く、就寝前の歯磨きなどにも便利です。オープンにしていることで、キレイに使う習慣にもつながるというメリットもあります。
プルーデンスならではの特徴とは?
両開きでガラス張りの大きなリビングドアは、これぞ輸入住宅といった趣き。プルーデンスの家ならではの住宅の特徴について井元邸を見ながら改めて整理してみます。
プルーデンスの家は、国産の2×4に海外テイストを盛り込んだ輸入風住宅とは違い、フィートモジュールを用いてつくられます。日本古来の在来工法で用いる尺モジュールが910mmなのに対して、フィートモジュールは1218mmが建物の基本グリッドとなっているため、ホールや廊下、階段、トイレなどの空間にもゆとりが生まれます。
リビングのところでもご紹介しましたが、通常の天井高が2400mmなのに対し、プルーデンスの家はハイスタッドの2700mmと、300mmも高い設定になっているので、開放的な空間をつくりだすことができます。
建具をはじめ、室内の仕上げに使うフローリングや、装飾に使うモールディングなどもすべて北米から取り寄せていますが、そうした輸入の装飾品や仕上げ材はフィートモジュールになっています。尺モジュールの住宅に輸入装飾を用いると、単位が違うためキレイに納まらないなどの心配がありますが、プルーデンスの家はフィートモジュールを基本にした建物なので納めやすく、美しい仕上がりになります。
内装壁や天井は石膏ボードの継ぎ目にテーピング処理を施した後、3回に渡ってパテ塗を丁寧に繰り返すドライウォール工法を採用しています。そうすることで平滑でクラック(ひび割れ)が起きにくく、防火、耐火、遮音、気密性能の高い上質で滑らかな壁が仕上ります。
壁紙だと切り込みを入れて処理したり、しわが寄ったりしがちなニッチのコーナー部分も滑らかな曲線を描いています。
夢のガレージライフをスタート
愛車を格納する組込み車庫は、居住スペースが多少狭くなっても、譲れない条件でした。オーバースライダーのシャッターが付いた広々とした車庫には、キャンプ用品などが収まるロフトや棚も付いています。
入居後新たに始めたのがDIY。作業台や、壁面の見せる収納なども手作りで、近々ボックス型の収納棚を取り付ける予定です。
娘さんのために作ったおままごとキッチン。奥さまが娘さんのクリスマスプレゼント用にと購入を迷っていたところ、「これなら自分で出来る」と一念発起、帰宅後や休日を使って少しずつ仕上げていった思い出の作品です。
塗装に使ったブルーグレーの塗料は、壁に使われているものと同じなので、室内の統一感を損なわずインテリアの一部としても楽しめます。
本物の輸入住宅の魅力を再確認
「両親やお友達を招いた時に、家の中で一番評判が良いのがダイニング。格子の窓越しに緑を眺め、風を感じながら過ごせるダイニングは、私もお気に入りの空間になっています」と奥さま。
井元「本物の輸入住宅の良さは、流行に左右されない普遍性にあります。年月を重ねるにつれて風合いと愛着が増す、次世代に住み継がれる家です。これからも、お客さまのご希望に寄り添い、価値ある家づくりをしていきたいと思います」。